月と春

やさしい月明かりがさし込む頃に。

白い吐息ときみの欠片さがし



少しの寂しさが頬を掠める、
ほんのり灰色がかった白を想う日。


そして、静かに吐く息も少しだけ白くなって、その白を追いかけるように空を見上げた日。


今日も今日とて
わたしの始まらない恋は始まらないままで、、
ふゆの寒さが余計にこの痛みを実感させるから、やっぱりわたしはまだ、きみが好きな季節を好きになれそうにない。

それでも きみがいつかの日に、
「 ふゆの匂いがすきだ、」
と言っていたこと。
それだけは少しわかる気がする。


冬の早朝、ぴりり、と澄んだ空気に、朝日のあたたかさと眩しさが入りこんできた時のあの匂い、、寒さの中でどこかあたたかさを感じさせる、きみが好きなふゆの匂い、、
日常の中で唯一身近に感じることができる、
きみのかけら。


でもそれはやっぱり欠片でしかなくて、あの夜空できらきらと輝く星 のようなきみには手が届かない、触れられない、、。
本当は、
何度生まれ変わったって きみには手が届かないってことも、わたしときみはずっと並行なままだってことも、ぜんぶわかってる。リアコなんて辛いだけ、なんてこともぜんぶぜーーんぶ、わかってる。


そう、ぜんぶわかっているけど、
やっぱりどこかで
ふゆの匂いにきみの姿を重ねて、
始まらない恋をしている今、を
たいせつに思ってるじぶんがいるの。



きみとマフラーを半分こして
お互いにあったかいねって笑いあったり、
もこもこのダウンを着てるきみの胸に
顔をうずめたり、なんて、、
そんな日は訪れるはずないのに、
今日も寒さの中できみの体温を探してる。

あぁ、やっぱり寒いし、痛いよ~~~!!結論、わたしはふゆを好きにはなれないみたい。だけど、きみのおかげで ふゆの匂いは好きになった。割と単純、案外そういうものでしょ?




はやくきみの体温を感じたい、